
『タンクライフRPGダークブレイズ』は「ボードゲーム風」というのがコンセプトだそうで、その部分は「GMの負担軽減」に、大きく関わっています。
今回は、その辺りに触れてみたいと思います。
今回は、その辺りに触れてみたいと思います。
ダークブレイズ実際に遊んでみてから、ルールブックを読み直してみると、「ボードゲーム風味なTRPG」と称している意味がわかってきた所があります。
迷宮キングダムをはじめとする冒険企画局のTRPGも、「ボードゲーム風」と称されることがありますが、ダークブレイズの設計思想は、ちょっと違う気がします。
結局のところ、ダークブレイズ以外のほとんどすべてのTRPGには「GMが必要」なのです。
例えば、モンスターの攻撃対象の選び方のルールや、モンスターの行動を決定する明確なルールがありません――迷宮キングダムのモンスターには行動指針として「性格」のパラメータがありますが、性格が「狡猾」ならば「GMの理想とする行動を行う」ということですから、この時点ですでに「GMありき」で話が進むわけです。
しかしダークブレイズの場合、そもそもGMがいようがいまいが、「モンスターの行動パターン」というルールが存在するので、GM判断が挟まる余地がないわけです。
データを見ていても思いますが、もしダークブレイズの「適正レベル」とされているモンスターが、GMの望むとおり計画的に行動できるのであれば――例えば、前衛壁役のガード回数を削ってから、後衛に集中攻撃を加えるような行動を行えば――ほぼPCに勝ち目はありません。
「モンスターの行動パターン」というルール前提で、バランスが取られているのです。
なので、ダークブレイズのGMは、GM判断をしなくてすむところが、非常に楽です。
例に挙げたモンスターの行動で言えば、PCの生存や危機に対して配慮する必要がなく、従って細かいマスタリングの技術――手加減など――が必要ないわけです。
そのため、ベテランGMがマスタリングしても、初心者GMがマスタリングしても、ルールブックに沿ってルール運用している限り、ダークブレイズのGMの負担やゲーム進行には、さほどの差は出ないでしょう。
つまり、この部分は「GM無しで遊べる」というコンセプトを推し進めるためにルールに搭載された部分です。
GMを長年やっていたり、理想のGM像を追い求める人が、GMの中にはそれなりの割合でいると思います。
そういった層は、シナリオ作成は勿論のこと、マスタリングにも重点を置きますから、ダークブレイズのこうした「GMの負担軽減」と称した「GM無しで遊べる」というコンセプトを、「不要である」とか、もっと極端なら「不快である」とすら感じる可能性もあるかと思います――「GM(すなわち自分)が必死でセッションを進行しようと、日夜労力を費やしているのに、それが不要とは、許せん!」という論調ですね。
しかしまあ、それこそGMを続けていればわかると思いますが、世の中、「GMを積極的にやりたい」という人は、少数派だと思います。
それどころか、「頼まれても、可能な限りGMをやりたくない。でも、TRPGは遊びたい」という、労力をかけてGMをやっている人からすれば、理不尽に感じるようなプレイヤーだって、少なくありません。
そうしたTRPGの状況や構造をふまえると、ダークブレイズの「GMの負担軽減」とか「究極的にはGMが不要」といったコンセプトは、興味深い物なのではないでしょうか。
かく言う私も、数年前まではGMとしての「シナリオ作成」なり「セッション運営」なりにモチベーションを保っていました。
なので、数年前の心境でダークブレイズを見ると、「なんてGMのやりがいがないゲームなんだ」とか感じていた可能性も、充分ありえます。
それから数年経って、色々と心境やら体力やら気力やら収入やらが変化した結果、現在の私は、市販のシナリオ集ばっかり使う、手抜きGMになってしまったわけですが(苦笑)。
ダークブレイズは、「楽してGMしたい人」とか「誰もGMをできそうにないメンバーが集まった日でも、セッションが可能になる」という点で、非常に優れたシステムに成りえると思います。
今現在、積極的にGMを楽しんでいる人は、「自分以外にGMの楽しさを知ってもらいたい」と思った場合、ダークブレイズを手渡してみるというのも良いかもしれません――そのような視点で見れば、ダークブレイズには色々と利用価値があることに気づくのではないでしょうか。
「GM無しで遊べる」というのは、進んでGMをやる層には価値が見出せないコンセプトかもしれませんが、そこには色々と将来性が潜んでいると、私は感じるのです。
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